心に寄り添い、そっと触れ続ける“しなやかな生き方”

人と人が出会うとき、
言葉より先に伝わってくる――

表情、間、空気感。

そうした“見えないもの”を大切にしている女性
石川県金沢市の片町で「Dolce notte」を営む、
おおはしりなさん。

オンラインが主流になり、会う機会が奪われたあの時代。
「リアルで会いたい」という彼女の静かな願いは、 4年経った今も変わらず、この店に灯り続けている。

りなさんのやわらかく、しなやかな生き方は、 頑張りすぎている女性の光となることでしょう。

目次

会うことを大切にするという想いから生まれた場所

バーをしようと思った理由を伺うと、

「お店の名前の”Dolce notte”は訳すと“甘い夜”って意味で。
どこかほっとする響きがあって、お酒と少し甘いものを出せたらいいなって思ったんです。
私、お酒ほとんど飲めないんですけどね。甘いお酒だけは少し。」

コロナでオンラインが当たり前になったあの時期。
「画面越しではなく、リアルで会って話せる場所をつくりたい」
そんな想いから生まれた場所。

お店を始めたのは、ビジネスよりも “人と人が繋がるための灯り”という優しい気持ちを感じました。

その人らしさに触れることで広がった働き方

今はバーを営んでいるりなさんだが、
実は10年以上、ヨガインストラクターとして活動もしている。

石川県を中心にさまざまな場所でレッスンを持つようになり、
毎回来てくれる30代の女性たちが、クラス前にぽつぽつと悩みを話し始めた。

「気づいたら、ヨガしないで1時間ずっと話して終わった日があって(笑)
でも、あの時間がすごく良かったんです。 “こういう場所って必要なんだな”って強く思いました。」

誰かが悩みを話し、誰かが頷く。
見知らぬ人同士なのに、一体感が生まれる。

リアルで人と会い、空気を感じること。
その“人と人”のやりとりが、りなさんの根っこにはいつもある。
そして、その原体験は、今のバー経営にそのままつながっている。

言葉にならない部分にみえる”本音”

「私がリアルを大切にしている理由は、 コーチングもしているので、ちょっとした表情の変化で “本当は何を感じてるんだろう”って、その奥に触れたくて。」

自分では気づいていない魅力を誰しもが持っていて、
それを見つけて伝えるのが好き

インタビューをしている私にも、その気持ちはすごく強く伝わってきました。

“人が好き”

もっと言えば

“人の内側にある、本当の気持ち”に触れ、
あなたにはこんな素敵なところがあるよ。

そんな風に本人が気づいていない輝きをそっと照らし、その小さな揺れや本音のグラデーションを丁寧に拾い上げる。 「こんなにも深く人に寄り添う人がいてくれんだ」 そう感じる瞬間でした。

コロナと震災という試練の中、それでもこの場所を続けてきた理由

店を開いた数ヶ月後に緊急事態宣言。

「お酒は8時半まで、9時には閉店。 開けても意味ないよね、って。あの頃の片町は本当に静かで…。
どう乗り越えたか覚えてません。必死で、記憶がないくらいで。」

そして、その後に震災。

棚のお酒が割れ、隣の店はアルコールの匂いで満たされていた。

「“またか…”って思いました。 でも、不思議と“やめよう”とは思わなくて。
やっぱりリアルで人と会う時間が恋しくて。」

苦しいことが続いても、彼女は店を開け続けた。

その背景には、“人の温度を信じる力”があった。

「続ける」も「やめる」も、どちらでもいい

「最近は、“この店を絶対守るぞ!”というよりも、嫌になったら手放していい。 次にやりたいことが見つかったら、そっちへ行けばいい。やめることも悪いことじゃないし、 続けることが偉いわけでもないし。」

そう伝えてくれる言葉には、

執着せず、その時の自分の心に正直に。
力を抜いて、しなやかに生きる。

現代の頑張りすぎてしまうたくさんの女性が忘れてしまっている大事な感覚を思い出させてくれる。

“仕事”と“プライベート”の分け方

「最近、仕事とプライベートの境目がなくなってきて。」

その言葉の意味を尋ねると、

「7時から店に立つのも生活の一部だし、 日中家にいるのも生活の一部。
“これは仕事、これはプライベート”って分けるんじゃなくて、 全部ふくめて“私の生活”なんだなって思うんです。」

“好きなことを仕事にしよう”
“自分らしく生きよう”

そんな力強い言葉が飛び交う時代の中、彼女のスタンスはとてもやさしく、呼吸をしやすくしてくれる。

「気づいたら好きになってた、くらいがちょうどいいんですよね。」
そのやわらかな生き方は、 胸にふっと風を通してくれる。

そんなやわらかく、整っているりなさんに
疲れる時はないんですか?と尋ねると

「もちろんありますよ!だからね、そんな時はひとりになって、考える。
疲れたら、私は完全にひとりになります。
そうして、静かに自分の内側に潜っていくことで、書いてると、ある瞬間“ぽん”って答えが出てくるんですよね。その瞬間が、整ったサイン。」

外に発散するのではなく、内側を丁寧にほどいていく。
忙しすぎる現代女性にとって必要な”自分との対話をする時間”
仕事とプライベート!とはっきりとした線を引かずに

自分らしく進んでいくコツなのかもしれません。

これから挑戦したいこと

「頑張っている女性の背中を押せる存在でいたい。」
仕事という枠ではなく、生き方そのものとして。
“カテゴリー”ではなく、“頑張っているすべての女性”を応援したいと語ってくださいました。

すべての“頑張る女性”へ のメッセージ

「まず、自分が頑張っていることに気づいてほしい。
気づけたら、一度泣きましょう。泣くって緩むことだから。」

がむしゃらに頑張ってきた女性ほど、泣くことを許せない。
だけど、泣けば一瞬でほどけることもある。

「もっと自分をゆるめていい。 そして、自分の人生の選択肢は思ってる以上にたくさんあるから。」

編集後記

取材を終えて店を出るとき、
ほんの少しだけ肩の力が抜けている自分に気づきました。

「会うって、やっぱりいいな。」
どこか懐かしいような、温かい感覚。

りなさんが大切にしている“リアルで触れる心の揺らぎ”は、
働く女性が日常の中で置き去りにしがちなもの。

完璧でいなくていい。
頑張りすぎなくていい。
泣いたっていい。

それを、人と人のあいだに流れる
たしかな“温度”で思い出させてくれました。

忙しさに追われて、自分の気持ちがどこか遠くへ行ってしまったとき。
誰かと話せる場所があるということは、
生きるうえで、ひとつの支えなのかもしれません。

金沢へ訪れる機会があれば、ぜひ“Dolce notte”にも足を運んでみてください。
そっと心がほどけるような時間を、きっと味わえるはずですよ。

PLOFILE

Dolce notte
おおはし りな
Instagram(BAR Dolce notte)
https://www.instagram.com/dolcenotte.ree/
Instagram(YOGA)
https://www.instagram.com/ohashi_rina/

BAR Dolce notte
金沢市片町2丁目31-40 タカオビル4階
定休日 日曜日
営業時間 19:30~0:00

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