美容は、周りまで幸せにできる|自分の本音に従って選んだ、新しい働き方

富山の訪問ケア美容 Re:bloom(リブルーム)
金井 桜さん

祖母の介護経験をきっかけに、「家の中の空気を少しでもやわらげたい」という想いから一歩を踏み出した金井桜さん
未経験の分野に迷いながらも、自分の本音に向き合い、選んだ「ご高齢者向けの出張型美容サービスという新しい働き方」

美容には、その人だけでなく、周りまで幸せにする力がある。

そんなまっすぐな想いで活動を続ける、金井さんの生き方に触れました。

目次

ご高齢者向け出張型美容サービスを届ける想い

金井さんがこの活動を始めたきっかけには、ご自身のおばあさまの介護経験がありました。

認知症を患ったおばあさまを家族で在宅介護していた当時、介護の経験がない中で向き合う毎日は、想像以上に大変なものだったといいます。
日々起こるさまざまな出来事に、家族の心にも少しずつ余裕がなくなり、家の中の空気が張りつめていく。
その経験を通して、「同じように苦しんでいる家庭はきっとたくさんある」と
強く感じたどり着いたのが、美容という手段でした。

「家の中の空気を少しでも和らげたい。そう考えたときに、自分にいちばんしっくりきたのが美容でした」

介護にも美容にも、もともと専門的な経験があったわけではない。

それでも、自分自身がメイクによって前向きな気持ちになれた経験があり、だからこそ“美容には人の心を明るくする力がある”と信じて、この道を選ばれました。

金井さんは、
「美容はポジティブな気持ちしか生まれないもの。受けた本人だけでなく、周りの人にも笑顔が伝わっていく」
と話してくださいました。

未経験から飛び込んだ、新しい挑戦

まったく違う業界からの転身には、大きな葛藤や悩みはありましたか?

そう尋ねると金井さんは、自分の人生を振り返ったときに「胸を張ってチャレンジした」と言える道を選びたいと思ったと真っ直ぐに答えてくださいました。

前職では安定して仕事もあり、周囲からは「どうしてわざわざ不安定な道へ行くのか」と止められることも多かったそうです。

「このままでもきっと幸せだったと思う。
でも、自分にとって本当に納得できる人生かと考えたときに、そうじゃない気がしたんです。

悩みに悩んだ末に踏み出した一歩。

金井さんはその決断を、勢いだったと笑いながらも、「迷ったら難しい方を選びたい」と語ってくれました。
その勇気のある凛としたメッセージからは、自分の可能性を自ら広げていこうとする芯の強さが感じられました。

人とのご縁から自然と拡がるお仕事のカタチ

現在は、個人宅への訪問だけでなく、介護施設での美容レクリエーションにも力を入れている金井さん。
施設では、食後のお迎えまでの時間などに、脳トレや体操とはまた違った時間として、美容に関するレクリエーションを届けています。

その背景には、「受けたい人がお金の問題で受けられないのは悲しい」という想いもあるそうです。
誰かにとって特別なサービスではなく、もっと自然に、美容に触れられる環境をつくりたい。
そんな姿勢が伝わってきます。

また、活動の広がり方もとても印象的でした。

飛び込み営業ではなく、人とのご縁を通じて少しずつつながりが広がっているそう。
「数を増やすよりも、一つひとつの施設と深く関わっていきたい」という言葉からは

ただ数を増やしていくのではなく、お一人お一人と向き合い
会話し、受けた方との関係を大切にされている真摯で誠実な気持ちが伝わってきました。

人を大切にされるからこそ、人から大切にされる方なんだな、
とお話しを聞いていてとても感じさせていただきました。

心が動くと、人の行動も変わる

活動の中で印象に残っている出来事はありますか?
と伺うと、金井さんは二つのエピソードを話してくれました。

一つは、事故や拘縮の影響で手が変形してしまい、普段はその手を隠すように過ごされていた方のお話。

その方は遠慮がちに近づいてこられ、
「事故や病気の影響で手が変形してしまったこと」
「自分の手が嫌い。変でしょう?」
「こんな手でもきれいになる?」
と、胸の内を打ち明けてくださいました。

きっと、とても勇気を出して話してくださったのだと思います。

実際に手を拝見すると、爪は小さく、ネイルができる部分は限られていました。
それでも、できる範囲で精一杯施術をしていくと、色を塗り進めるたびに目をキラキラさせながら、「きれい!」「すごい!」と何度も喜びを伝えてくださったそうです。

完成後には、ご自身からお友達や職員の方に「見て!」と手を差し出されていて、その普段の様子をご存じの職員の方も驚くほど、気持ちの変化が表れていたといいます。

もう一つは、レクリエーションで口紅を塗る時間のことです。

その方は、もともとお化粧が大好きだったものの、施設に通うようになってから、まわりにメイクをする人が少ないこともあり、自然とお化粧をしなくなっていったそうです。

そんな中、久しぶりに口紅を塗り、「今日はありがとう」と笑顔を見せてくださったことが、今も深く心に残っているといいます。

金井さんは、ただ“きれいになる”だけではなく、その時間の中で昔の記憶がよみがえったり、隣の人との会話が生まれたりすることにも、大きな価値を感じています。

手を動かしながら思い出し、誰かに話すこと。
それ自体が、その人にとっての刺激やリハビリにもなる。
美容には、そうした豊かな時間を生み出す力があるのだと教えてくれました。

“整う”ために、毎月1日は自分の日に

お仕事とプライベートのバランスについて伺うと、金井さんは今まさにその課題と向き合っている最中だと話してくれました。

開業してからここまで、休みなく走り続けてきたからこそ、「このままではいい仕事ができない」と感じるようになったそうです。

そこでこれから実践したいと思っているのが、「毎月1日は自分の日」にすること。
意図的に休みを取り、自分を整える時間をつくることで、また次の1か月をよりよい状態でスタートしたいと考えています。

「自分が整っていないと、周りの方に還元できない」

その言葉は、誰かのために頑張る人ほど忘れがちな大切な視点だと感じました。

これからは“美容×他業種”で、もっとできることを増やしたい

今後挑戦していきたいこととして挙げてくださったのは、“美容かける何か”という新しい取り組みでした。

すでに、介護タクシー事業の方と日曜日に施設を開放して、人が集まれる場をつくる構想もあるそうです。
そこでは、それぞれの事業の強みを掛け合わせた新しい場づくりに挑戦されています。

さらに印象的だったのは、ご家族も巻き込んだ体験づくりをしたいというお話でした。

たとえば、ご家族がご高齢のご家族にメイクをしてあげるようなレクチャーの場ができれば、関係性が変わるきっかけになるかもしれない。

介護の中では、どうしても「お金を払う人」と「サービスを受ける人」が別になりやすいからこそ、その間にある距離を少しでも近づけたい。そこには、ご自身の経験から生まれた切実な願いがありました。

「美容って、病気とか年齢とか環境とかに関係なく、みんなが同じ目線で楽しめるものだと思うんです」

その言葉どおり、美容を通じて誰もがフラットにつながれる場を、これからもっと広げていきたいという想いが伝わってきました。

挑戦を迷っている女性たちへメッセージ

最後に、挑戦しようか迷っている女性たちへメッセージをいただきました。

金井さんは、「いっぱい悩んでいいと思います」と、まっすぐな言葉で話してくれました。

ひとりで悩むことも、誰かに相談しながら悩むことも、すべて大切な時間。
周りに反対されたとしても、その言葉を受け取ったときに「それでもやりたい」と思えるなら、その想いは本物かもしれない。

悩み抜いた先には、自分の中で譲れない核が見えてくるといいます。

「悩めば悩むほど、答えが強くなっていく」

その言葉は、今まさに何かを始めようとしている人の背中を、そっと押してくれるようでした。

編集後記

金井さんのお話には、終始やさしさとまっすぐさがあり、お話しの中で何度も目頭が熱くなりました。
誰かのためにできることを探した先に辿り着いた“美容”というお仕事。

そしてその美容が、ご本人だけでなく周りの人の心までほぐしていくものとして語られていたことが、
今まさに一人で抱え込んで頑張ってしまっている女性に届けたいとも強く思いました。

迷いながらも、自分の気持ちに丁寧に向き合って進んできた金井さんの姿は、「自分らしい働き方」を考える人に、そっと勇気をくれるように感じました。

PROFILE

金井 桜
富山の訪問ケア美容 Re:bloom(リブルーム) 代表
Website:https://digital-profile.site/kanai_sakura/

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